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    <title>医療リテラシー on 地方住み医師の乳癌と緩和ケア相談所</title>
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    <description>Recent content in 医療リテラシー on 地方住み医師の乳癌と緩和ケア相談所</description>
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    <lastBuildDate>Mon, 14 Sep 2026 09:00:00 +0900</lastBuildDate>
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      <title>同じ国で3倍の差——HPVワクチンを「打つ・打たない」の前に知ってほしいこと</title>
      <link>https://chiho-nyugan-kanwa.com/posts/literacy-hpv-vaccine/</link>
      <pubDate>Mon, 14 Sep 2026 09:00:00 +0900</pubDate>
      <guid>https://chiho-nyugan-kanwa.com/posts/literacy-hpv-vaccine/</guid>
      <description>&lt;p&gt;がん保険に入っても、がんにならずに済むわけではありません。保険が備えるのは「かかった後のお金」であって、「かからないこと」ではないからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;では、がんそのものを防ぐ手段はあるのか。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ほとんどのがんについて、答えは「決定打はない」です。ただし&lt;strong&gt;ごく少数、ワクチンで原因そのものを減らせるがん&lt;/strong&gt;があります。子宮頸がんは、その代表です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この記事では、そのHPVワクチンについて書きます。ただし「打ちましょう」と勧める記事ではありません。&lt;strong&gt;打つか打たないかを決める前に、知られていない事実がいくつもある&lt;/strong&gt;——そちらを整理します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なかでも中心に置きたいのは、最近公表された&lt;strong&gt;都道府県別の接種率&lt;/strong&gt;です。同じ国の同じ制度なのに、&lt;strong&gt;最も高い県と低い県で約3倍の差&lt;/strong&gt;がついていました。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
&lt;h2 id=&#34;はじめに筆者の立場を明示します&#34;&gt;はじめに：筆者の立場を明示します&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;私は乳腺外科と緩和ケアを専門とする医師で、&lt;strong&gt;婦人科医ではありません&lt;/strong&gt;。子宮頸がんの診療そのものは専門外です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それでもこのテーマを書くのは、「&lt;strong&gt;予防でがんを減らす&lt;/strong&gt;」という点で共通の土俵に立っているからです。乳がんの検診も、早期発見によって重い治療を減らすための営みです。専門領域の臨床判断には踏み込まず、&lt;strong&gt;制度と数字の読み方&lt;/strong&gt;に絞って書きます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もうひとつ、あらかじめ申し上げます。&lt;strong&gt;この記事は誰も説得しに行きません。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;HPVワクチンは、推進と反対が激しくぶつかってきたテーマです。どちらかの陣営に立って相手を論破する文章は、すでに世の中にたくさんあります。私が書きたいのはそこではありません。&lt;strong&gt;判断に必要な材料と、判断した後に使える制度&lt;/strong&gt;を置いて終わります。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
&lt;h2 id=&#34;マクロこの病気はどれくらい重いのか&#34;&gt;マクロ：この病気は、どれくらい重いのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;まず、防ごうとしている相手の大きさを確認します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;子宮頸がんは日本で&lt;strong&gt;年間およそ1.1万人がかかり、約2,900人が亡くなっています&lt;/strong&gt;。そして見逃せないのが、&lt;strong&gt;30歳代までに、がんの治療で子宮を失う（妊娠できなくなる）人が年間およそ1,000人&lt;/strong&gt;いることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;生涯でどれくらいの確率かという形にすると、こうなります。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;
  &lt;thead&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;指標&lt;/th&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;数値&lt;/th&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;分かりやすく言うと&lt;/th&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/thead&gt;
  &lt;tbody&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;一生のうちに子宮頸がんになる人&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;1万人あたり132人&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;約4クラスに1人&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;子宮頸がんで亡くなる人&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;1万人あたり34人&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;約15クラスに1人&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/tbody&gt;
&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;（1クラスに女子が20人いるものとして計算しています。実際の人数は学校や学年によって違いますが、桁の感覚をつかむための目安です。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「1万人あたり132人」と言われてもピンときませんが、「4クラスに1人」と言われると景色が変わります。&lt;strong&gt;同じ数字でも、見せ方で受ける印象はまったく違う&lt;/strong&gt;——これは後で大事になるので、覚えておいてください。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&#34;ワクチンでどこまで防げるのか&#34;&gt;ワクチンで、どこまで防げるのか&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;子宮頸がんの原因はHPV（ヒトパピローマウイルス）というウイルスの感染です。多くは自然に消えますが、一部の人で感染が続き、前がん病変を経てがんになります。&lt;strong&gt;感染した後で誰ががんになるのかは、今のところ分かっていません&lt;/strong&gt;。だから「感染そのものを防ぐ」ことが手段になります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;現在使われているワクチンの効果は、防げるHPVの型の範囲で決まります。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;
  &lt;thead&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;ワクチン&lt;/th&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;防げる型&lt;/th&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;子宮頸がんの原因のうち&lt;/th&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/thead&gt;
  &lt;tbody&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;2価・4価&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;HPV16型・18型&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;50〜70%&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;9価（シルガード9）&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;上記＋5種類&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;80〜90%&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/tbody&gt;
&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;100%ではありません。&lt;strong&gt;打っても残る分がある&lt;/strong&gt;ということです。この点は後半でもう一度触れます。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
&lt;h2 id=&#34;ミクロ集団の期待値は当たった個人の慰めにならない&#34;&gt;ミクロ：集団の期待値は、当たった個人の慰めにならない&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ここからが、この記事でいちばん書きたかったことです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;上に並べた数字は、すべて&lt;strong&gt;集団の話&lt;/strong&gt;です。「1万人に打てば、これだけ減る」という計算であって、「&lt;strong&gt;あなたが打てば得をする&lt;/strong&gt;」という意味ではありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ワクチンには副反応があります。頻度を正確に書きます。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;
  &lt;thead&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;頻度&lt;/th&gt;
          &lt;th style=&#34;text-align: center&#34;&gt;症状&lt;/th&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/thead&gt;
  &lt;tbody&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;50%以上&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;接種部位の痛み・赤み・腫れ、疲労&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;10〜50%未満&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;かゆみ、腹痛、筋肉痛、関節痛、頭痛など&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;1〜10%未満&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;じんましん、めまい、発熱など&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
      &lt;tr&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;まれ&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
          &lt;td style=&#34;text-align: center&#34;&gt;&lt;strong&gt;重いアレルギー症状、神経系の症状&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
      &lt;/tr&gt;
  &lt;/tbody&gt;
&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;ほとんどは注射部位の痛みで、それは多くのワクチンに共通するものです。しかし「まれ」に分類される重い症状は、&lt;strong&gt;確率が低いというだけで、起きないという意味ではありません&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして——ここが大事なところです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;実際に重い症状が起きた人にとって、「1万人あたり何人」という数字は、何の慰めにもなりません。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その人にとって起きたことは100%です。集団としての期待値がプラスであることと、目の前のその人に起きた出来事は、まったく別の次元にあります。&lt;strong&gt;「打つべきではなかった」と感じるのは、極めて自然な感情&lt;/strong&gt;だと私は思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;医療者の中には、こうした感情を「誤解」や「不安」として扱い、正しい情報を与えれば解消されるはずだ、と考える人もいます。私はそこには与しません。&lt;strong&gt;感情を病理として扱った瞬間に、対話は終わります。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;マクロの推奨は正しい。かつ、不利益を受けた個人が「やるべきでなかった」と思うのも正しい。&lt;strong&gt;この二つは同時に成り立ちます。&lt;/strong&gt; 矛盾しているように見えるのは、統計と個人が別の論理で動いているからです。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
&lt;h2 id=&#34;男性も打てますただし自費です&#34;&gt;男性も打てます——ただし、自費です&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;意外に知られていませんが、&lt;strong&gt;HPVワクチンは男性も接種できます&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;HPVが関わるのは子宮頸がんだけではありません。男性では&lt;strong&gt;中咽頭がん・肛門がん・陰茎がん&lt;/strong&gt;が関連します。とくに中咽頭がんは、日本の報告で&lt;strong&gt;患者のおよそ55%がHPVに関連&lt;/strong&gt;していました（p16陽性1,113例に対し陰性893例）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本でも、4価ワクチンが2020年12月に9歳以上の男性へ、9価ワクチンが2025年8月に男性へと、それぞれ承認が広がっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、ここに大きな段差があります。&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;女子は定期接種（小6〜高1相当）。男性は定期接種の対象外＝全額自己負担。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;費用は&lt;strong&gt;4価3回で5〜6万円程度、9価3回で8〜9万円程度&lt;/strong&gt;です（東京都の記載による）。同じ学年の男女で、片方は公費、片方は数万円の自腹ということになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして認知度も、数字で出ています。ある調査では、**「男性もHPVワクチンを接種できる」ことを知っていた保護者は39.4%**でした。裏を返せば、&lt;strong&gt;6割は知らない&lt;/strong&gt;ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なお日本で承認されている男性への効能は、&lt;strong&gt;肛門がんとその前駆病変、そして尖圭コンジローマ&lt;/strong&gt;です。中咽頭がんへの予防効果も期待されていますが、現時点で承認された効能には含まれていません。&lt;/p&gt;
&lt;hr&gt;
&lt;h2 id=&#34;地域差女性の接種率が3倍違う&#34;&gt;地域差①：女性の接種率が、3倍違う&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ここから本題です。&lt;/p&gt;</description>
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