「検診を受けたいけど、お金がかかるのが気になる」——そんな声をよく聞きます。
乳がん検診には、ほぼ無料で受けられるものから1万円以上の自費検診まで、いくつかの種類があります。仕組みを知れば、自分に合った検診を賢く選べます。
この記事では、乳がん検診の費用と、自治体・職場・人間ドックなどの選択肢を整理します。
1. 乳がん検診には2つの種類がある
検診は大きく分けて以下の2種類です。
| 種類 | 目的 | 費用 |
|---|---|---|
| 対策型検診 | 集団全体の死亡率を下げる | 無料〜数百円(公費負担) |
| 任意検診 | 個人の希望で受ける | 3,000円〜10,000円程度(自費) |
対策型検診(自治体検診)
- 市区町村が住民向けに行う
- 国の指針に基づく(40歳以上・2年に1回・マンモグラフィー)
- 公費補助で無料または数百円
任意検診(人間ドックなど)
- 自分の希望で受ける
- 30代でも受けられる
- 超音波・MRIなど追加検査も可能
- 自費(または健保補助あり)
2. 自治体検診を活用する
最もコストを抑えられるのが、市区町村の対策型検診です。
受け方
- 市区町村の広報誌・ホームページで案内をチェック
- 申込み(電話・Web・FAX等)
- 指定の日程・医療機関で受診
費用の目安
- 0〜1,000円程度(自治体により異なる)
知っておきたい制度
無料クーポン
40歳の節目年齢に乳がん検診の無料クーポンが届きます。これは国が「がん検診推進事業」として実施している施策です。
- 40歳到達年度の女性に郵送
- マンモグラフィー検診が無料
- 期間内(通常はその年度内)に使う必要あり
届いたクーポンは必ず使ってください。捨てると数千円の機会損失です。
参考情報源:厚生労働省「がん検診推進事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html)
3. 職場の検診(健康診断・人間ドック)
職場の健康診断には乳がん検診が含まれている場合があります。
健保組合の補助制度
健康保険組合(大企業・業界別)に加入している方は、人間ドックや婦人科検診の補助があることが多いです。
- 婦人科検診の補助:年1回、上限○万円
- 人間ドック補助:年1回、半額補助など
ご自身の健保組合のホームページで「婦人科検診」「人間ドック補助」を調べてみてください。
協会けんぽの場合
協会けんぽ(中小企業の多く)にも、婦人科検診の補助があります。
- 35歳以上の被保険者・被扶養者が対象
- 乳がん検診を含む
- 自己負担は数百円〜2,000円程度
4. 任意検診(人間ドック)の費用
自分の希望で受ける任意検診は、内容によって費用が変わります。
| 検査内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| マンモグラフィーのみ | 3,000〜5,000円 |
| 超音波のみ | 3,000〜5,000円 |
| マンモ+超音波 | 6,000〜10,000円 |
| 乳腺MRI(高リスク者) | 20,000〜40,000円 |
| 無痛乳房MRI(DWIBS法) | 30,000〜50,000円 |
特に高濃度乳房の方や家族歴がある方は、マンモグラフィーに超音波を追加する任意検診を選ぶ価値があります。
無痛乳房MRI(DWIBS)とは
近年注目されている検査方法で、乳房を圧迫せず・被ばくもなく受けられます。造影剤を使わないMRIで、高濃度乳房でもがんの検出能が高いとされています。費用は自費で30,000〜50,000円程度。実施施設は限られていますが、検診の選択肢として広がりつつあります。
参考情報源:無痛MRI乳がん検診(DWIBS)施設検索
5. 賢い使い方の例
パターン①:40〜49歳・健康保険のみ
- 自治体検診(マンモ・無料or数百円)を2年に1回
- 心配なら間の年に任意検診で超音波を追加(自費)
パターン②:40〜49歳・健保組合あり
- 健保補助で人間ドック(マンモ+超音波)を年1回
- 自己負担は数百〜数千円で済む
パターン③:30代・症状なし
- 対策型検診の対象外
- 心配なら任意検診(マンモor超音波)
- 家族歴があれば乳腺専門医に相談
パターン④:要精密検査となった場合
- 検診ではなく医療保険の3割負担で受診
- 高額療養費制度の対象にもなり得る
6. 「無料・有料」の境界線を知る
検診と医療の境目には、覚えておきたいルールがあります。
| 状況 | 適用 | 自己負担 |
|---|---|---|
| 自治体検診 | 公費補助 | 0円〜数百円 |
| 任意検診(症状なし) | 自費 | 全額自己負担 |
| 症状があって受診 | 健康保険 | 3割負担 |
| 要精密検査の精査 | 健康保険 | 3割負担 |
「しこりがあるから検診を受けたい」と医療機関を訪れる方がいますが、症状がある場合は検診ではなく診療になります。健康保険で受診できますので、無理に検診を選ぶ必要はありません。
まとめ
- 乳がん検診には対策型(自治体)と任意検診の2種類
- 40歳以上は自治体検診を2年に1回が最もコスト効率がよい
- 40歳の無料クーポンは必ず使う
- 職場の健保組合・協会けんぽにも補助制度あり
- 症状があれば検診ではなく診療(健康保険3割負担)
検診費用を理由に受けないのはもったいないです。お住まいの自治体や勤務先の制度を一度確認してみてください。
筆者:田舎の県庁所在地に住む医師。外科学会専門医・乳癌学会認定医。現在は乳がんの検診・診断と緩和ケアを専門に担当。医師になって20年。