📌 ピン留め ライフプランは「人生の設計図×お金」——医師が実際に4ステップで作ってみた話

「将来のお金、なんとなく不安」——収入の多い少ないに関係なく、この感覚を持っている人は多いと思います。実は医師も例外ではありません。筆者自身、家計簿と資産の一覧はつけていたのに、「で、結局このままで大丈夫なの?」という問いには長く答えられずにいました。 その答えを出してくれたのがライフプランです。この記事では、ライフプランとは何か、作るとどんな良いことがあるのか、そして筆者が実際にやってみた4つのステップを紹介します。 1. ライフプランとは——「人生の設計図」を「お金」に落とし込んだもの ライフプランという言葉は保険の営業などでもよく使われますが、中身はシンプルです。 「どう生きたいか」という人生の設計図に、「いつ・いくら必要か」というお金の情報を紐づけたもの——それがライフプランです。 ポイントは2つあります。 人生の価値観が入っていること:どんな仕事をしたいか、どこに住みたいか、子どもの進学、何歳まで働くか、老後はどう暮らしたいか 具体的なお金に落とし込まれていること:「いつか家を買いたい」ではなく「◯歳で◯千万円の家を買う」まで具体化する お金の裏付けのない計画は、残念ながら願望のままで終わりがちです。逆に、金額と時期がセットになった瞬間、計画は「実行できるもの」に変わります。 2. 作るメリットは3つ 筆者が実際に作って感じたメリットは、次の3つに集約されます。 メリット どういうことか 漠然とした不安が消える 「いつ・いくら必要か」が見えると、正体不明だった不安が「対処できる課題」に変わる 罪悪感なくお金を使える 必要額が確保できていると分かれば、旅行や体験にも気持ちよくお金を出せる 見直すたびに人生が良くなる 定期的に見直すとき、わざわざ悪い方向に直す人はいない。見直し=上方修正になる 特に2つ目は想像以上でした。筆者は家族旅行や子どもの体験にお金を使うことを大切にしたいのですが、以前は「使ってしまって大丈夫か」というブレーキが常にかかっていました。ライフプランを作ってからは、「ここまでは使っていい」という線が見えるので、迷いなく使えるようになりました。 3. 実際に作ってみた——4つのステップ ライフプランに決まった書式はありません。ただ、一般的には次の4ステップで作ると迷いません。筆者もこの順番で作りました。 STEP1:どう生きたいかを書き出す まず、お金の計算は一切せずに、やりたいこと・大切にしたいことを紙1枚に書き出します。「◯歳までに家族で北海道へ行く」「◯歳からは働き方を変える」——いわゆる「やりたいことリスト(バケットリスト)」です。 筆者はこれを年代別(40代でやること、50代でやること……)に整理しました。ここが一番楽しい作業です。 STEP2:収支表と資産の一覧を作る 次に、家計の現在地を確認します。 収支表:毎月の収入と支出。家計簿アプリ(マネーフォワードMEなど)を使っていれば、そのまま流用できます 資産と負債の一覧:預金・投資・保険などの資産と、住宅ローンなどの負債を一覧にしたもの ここで「毎月の収支が赤字」「負債が資産を上回っている」ことが分かったら、将来の計画より先に、まず現在地の立て直しが必要というサインです。 STEP3:ライフイベント表を作る STEP1で書き出したやりたいことに、時期と金額をつけて一覧にします。子どもの進学、車の買い替え、家の修繕、記念の旅行——「何歳のときに・何が起きて・いくらかかるか」が1枚で見える表です。 日本FP協会が無料の記入シートを公開しているので、手書き派の方はこれで十分です:便利ツールで家計をチェック(日本FP協会) 筆者の場合、ここで教育費の総額と行きたい旅行の費用を具体的な数字にしました。「思っていたより旅行費を低く見積もっていた」ことに気づけたのも、この表のおかげです。 STEP4:キャッシュフロー表を作る 最後が、毎年の収支・貯蓄残高・ライフイベントを1つの表にまとめたキャッシュフロー表です。「◯年後は進学と車の買い替えが重なって赤字になるが、貯蓄でカバーできる」といった未来の到達予想が見えるようになります。 正直、数字だらけで一番ハードルが高いステップです。ここまでできなくても、STEP3のライフイベント表まで作れば十分に価値があります。毎月の収支が黒字で、資産が増えていて、いつ・いくらの支払いが来るか分かっている——それだけで家計管理としてはかなり上位のレベルです。 筆者はSTEP4まで作ってみて、「◯歳で完全リタイア」は難しいが、働き方を調整すれば十分やっていけることが数字で分かりました。漠然と「早く辞めたい」と思っていた頃より、いまの仕事に向かう気持ちはむしろ軽くなっています。 4. 病気になったときこそ、ライフプランが効く このブログは乳がん・緩和ケアがテーマなので、最後にこの視点を。 がんと診断されると、治療費・仕事・家族の生活と、お金の不安が一気に押し寄せます。そのとき、家計の現在地(STEP2)が把握できている家庭とそうでない家庭では、落ち着きがまったく違う——外来でご家族と話していて、そう感じることがあります。 治療費そのものは高額療養費制度で上限があります(2026年8月からの改定には注意) 一方で、収入の変化や交通費・生活の支出は、家計の全体像が見えていないと判断がぶれます ライフプランは元気なうちに作るものですが、効果を発揮するのは想定外のことが起きたときです。健康なうちの1〜2日の作業が、いざというときの家族の判断力になります。 まとめ ライフプランとは、人生の設計図をお金に落とし込んだもの 作るメリットは「不安の解消」「罪悪感なくお金を使える」「見直すたびに上方修正」の3つ 作り方は4ステップ:①やりたいことを書き出す → ②収支表と資産一覧 → ③ライフイベント表 → ④キャッシュフロー表 STEP3まででも十分。完璧を目指すより、まず1枚書いてみる お金も時間もほとんどかからず、失うものがない割に、得られる安心は大きい——筆者が実際に作ってみた率直な感想です。 筆者:田舎の県庁所在地に住む医師。外科学会専門医・乳癌学会認定医。現在は乳がんの検診・診断と緩和ケアを専門に担当。医師になって20年。 お金の勉強はリベラルアーツ大学(リベ大)を参考にしています。

July 11, 2026 · 1 min