がん治療の医療費——高額療養費制度を知っておく

「がんになったら、どれくらいお金がかかるのか不安です」——患者さんやご家族からよく聞かれる質問です。 確かに、がん治療は高額になりがちです。しかし、日本の公的医療保険には強力な「経済的セーフティネット」があります。これを知っておくだけで、不安はかなり軽減されます。 この記事では、がん患者さんとご家族が知っておきたい高額療養費制度を中心に、医療費の仕組みを解説します。 1. 公的医療保険の自己負担は1〜3割 日本では、医療機関で受けた治療の自己負担は年齢と所得によって1〜3割です。 年齢 自己負担 義務教育就学前(6歳未満) 2割 6歳〜69歳 3割 70〜74歳 2割(現役並み所得者は3割) 75歳以上 1割(一定所得者は2割、現役並み所得者は3割) 例えば、3割負担の方が100万円の医療費がかかった場合: 保険適用 → 自己負担は30万円 残りの70万円は健康保険が負担 ただし、3割でも医療費が高額になれば30万円・50万円という負担になります。これを軽減するのが高額療養費制度です。 2. 高額療養費制度とは 1ヶ月(同月内)の医療費自己負担に上限を設ける制度です。所得に応じて上限額が決まっており、それを超えた分は後から払い戻されます(または最初から払わなくて済む手続きあり)。 70歳未満の自己負担上限(2025年現在) 所得区分(年収目安) 国民の割合※ 1ヶ月の自己負担上限 年収約1,160万円〜 約3% 約25万円+(医療費-84.2万円)×1% 年収約770〜1,160万円 約7% 約16.7万円+(医療費-55.8万円)×1% 年収約370〜770万円 約45% 約8.7万円+(医療費-26.7万円)×1% 年収〜370万円 約45% 57,600円 住民税非課税 (上記に含む) 35,400円 ※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」を基にした概算。給与所得者ベース。 この表を見ると、国民の約90%は年収770万円以下のグループに該当します。つまり、ほとんどの人で1ヶ月の自己負担は約9万円以下で済むということになります。 ⚠️ 2026年8月から制度が変わります 2026年8月から、高額療養費制度の見直しが段階的に実施されます(2026年8月:第1段階、2027年8月:第2段階)。 主な変更点 月額自己負担上限の引き上げ 例:年収370〜770万円の場合、現行 80,100円+(医療費-26.7万円)×1% → 2026年8月から 85,800円+(医療費-28.6万円)×1% 年間上限の新設(がん患者・難病患者に配慮) 月ごとの上限に届かなくても、1年間の自己負担合計が一定額に達するとそれ以降の窓口負担がなくなる 例:年収370〜770万円の場合、年間上限 53万円 2027年8月の所得区分細分化 年収370〜770万円が3つに分かれる:370〜510万円(据え置き)/510〜650万円/650〜770万円 がん治療のように長期で高額医療を受ける方には、年間上限の新設は朗報です。一方、月額上限は引き上げられるため、短期で高額医療を受ける方には負担増となります。 参考情報源:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」 参考情報源:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html) 3. 「多数該当」でさらに自己負担減 過去12ヶ月で3回以上高額療養費の対象になった場合、4回目以降は自己負担上限がさらに下がります(多数該当)。 ...

May 7, 2026 · 1 min