ふるさと納税の記事は「何を頼むか」の話が多いのですが、実際にやってみてしっくり来ているのはいつ・どこまで頼むかのほうでした。2026年の自分のやり方は、1〜2月に一度探す、予想される上限を出す7月、9割で止める秋、残りを決める12月、です。

筆者は2026年、ふるさと納税を20件・18自治体に申し込みました。この記事では金額は出さず、割合と時期だけで、1年をどう回したかを書きます。返礼品そのものの感想は別の記事(【ふるさと納税】医師が頼んで良かった返礼品5選)にまとめています。


結論:1年はこの6つの節目で回る

時期 やること 使うもの
1〜2月 一度、返礼品を探す 各ポータル
6〜7月 上限を計算する 住民税決定通知書
〜9月 安全ラインの9割まで申し込む 各ポータル
12月 年収の着地を見て、残り1割を使うか決める 給与明細・源泉徴収票
翌年2〜3月 確定申告(またはワンストップ特例) 寄附金控除に関する証明書
翌年6月 控除が反映されたか確かめる 次の住民税決定通知書

最後の「翌年6月」は、そのまま次の年の「上限を計算する」につながります。毎年同じ紙を見るところから始まり、同じ紙で終わる、という回り方です。


6〜7月:住民税決定通知書で上限を出す

毎年6月ごろ、勤務先経由(または自宅)で住民税決定通知書が届きます。上限の計算に一番使えるのがこの紙です。

総務省の説明では、住民税から引かれる「特例分」は住民税所得割額の2割が上限です。ここから逆算すると、自己負担2,000円で収まる寄附額の目安は次の式になります。

上限の目安 = 住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円

  • 「所得税率」は5〜45%のうち自分に当てはまる税率
  • 「1.021」は復興特別所得税の分

出典:総務省|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について

ここで注意したいのは、通知書に載っているのは前年の所得だということです。今年の上限は今年の所得で決まるので、この式で出るのは「今年も去年と同じくらい稼ぐなら」という前提の数字です。筆者が使った上限も、こうして出した概算です。この記事に出てくる「97%」「9割」「1割」といった割合は、すべてその概算の上限に対するものです。

前年に枠をどれだけ使えていたかも、同じ紙から分かるはず

通知書には、前年の寄附で受けた寄附金控除の額も載っています。ここから前年の寄附額を逆算し、その年の上限と比べれば、枠をどれだけ使えていたかが分かるはずです。

筆者は前年の寄附額を記録しておらず、確かめるのを後回しにしていました。AIがなかった頃は、確かめるには税理士に頼むしかなく、お金をかけてまで確認することではないと考えたからです。今回はAIに逆算を試してもらいましたが、その逆算が正しいかは、まだ確かめていません。また、前年の上限を正確に出すには、その年の給与明細をすべてAIに読ませる必要があるため、そこまではしていません。

この記事に前年の使用率は書けません。確かめるなら、通知書の控除額と、その年の給与明細をそろえるところからになります。今年は家計管理を抜け漏れなくやっているので、今までより精度が上がりそうです。


安全ラインを「上限の97%」に置く

計算で出た上限をそのまま使い切ろうとすると、少し下振れしただけで超えてしまいます。筆者は計算上の上限の約97%を安全ラインにしました。

理由は、超えたときと余らせたときで、損の形が違うからです。

上限を超えた 上限を余らせた
何が起きるか 超えた分は控除されない 控除は満額受けられる
損するもの 超えた分のお金そのもの 受け取れたはずの返礼品
取り戻せるか 戻らない 翌年また使える枠がある

超えた分は単なる寄附になりますが、余らせた分は返礼品を1つ逃しただけです。だから、迷ったら余らせる側に倒します。


〜9月:安全ラインの9割で止める

2026年の申し込みは、時期で見るとこうなりました。

時期 件数
2〜5月 4件
7〜8月 4件
9月 12件

9月に固まったのは、秋に一部の返礼品の受付終了が告知されたからです。「還元率も変わる」とも言われていました。返礼品名に受付終了日が書かれているものもあり、予定を前倒しして申し込みました。

この時点で、義援金なども含めた寄附の合計は安全ラインの約9割。残りの約1割は12月の調整用として、最初から手をつけないと決めていました。

冷凍庫の容量に合わせて「届く時期」を散らす

9月に12件まとめて申し込むと、届く時期まで重なりがちです。定期便や配送月を選べる品を混ぜて、届く時期をずらしました(缶詰は年明けの配送を指定)。ペーパータオルやトイレットペーパーのような常温で置ける日用品も、冷凍庫を使わずに枠を埋められます。


返礼品のない寄附も、同じ枠を使う

見落としやすいのがここです。

災害の義援金を、被災自治体や日本赤十字社の義援金受付専用口座に振り込むと、最終的に自治体に届く寄附として扱われ、ふるさと納税と同じ控除の枠を使います。自治体経由の学校支援のクラウドファンディングなども同じです。

筆者の場合、こうした返礼品のない寄附が枠の約1割を占めていました。これを忘れて返礼品の申し込みだけで上限まで使うと、そのぶん超えてしまいます。

証明書類は自分で保管する

ポータルで申し込んだ分は、ポータルがまとめて証明書を出してくれます。ポータルを通さない寄附はそうはいきません。義援金を銀行振込した場合、国税庁は次の2点を証明書類として挙げています。

  1. 振込票の控え(ネットバンキングなら取引明細)
  2. 振込先が義援金の受付専用口座だと分かる資料(募金要綱・団体のホームページの写しなど)

出典:国税庁|義援金に関する税務上の取扱いFAQ「専用口座を設置している場合の領収書の発行の省略」(平成30年7月豪雨の例)

2の資料は、受付が終わるとページが消えることがあります。筆者は振り込む前に受付案内のページをPDFで保存しました。


12月:年収の着地を見て、残り1割を決める

12月になると、その年の収入がほぼ見えます。ここで上限を計算し直し、残しておいた1割を使うかどうか決めます。

  • 収入が前年並みか、それ以上 → 残りの枠を使う
  • 収入が下振れしていそう → 使わない

下振れの可能性があるなら使わない、というのは前の表のとおりです。余らせても損は返礼品1つぶんで済みます。


翌年2〜3月:確定申告は「証明書のデータ」で楽になる

ワンストップ特例(確定申告をせずに済む仕組み)が使えるのは、次の両方を満たす人だけです。

  • もともと確定申告をする必要がない
  • 寄附先が5自治体以内

筆者は寄附先が18自治体あり、ほかの理由でも確定申告をするので、ワンストップ特例は使えません。ポータルの申込履歴に申請書のダウンロードボタンが出てきますが、使えない人は押さずに放っておいて大丈夫です。

確定申告で手間を減らせるのは、ポータルが発行する**「寄附金控除に関する証明書」(電子データ)**です。1年分の寄附が1つのファイルにまとまっていて、国税庁の確定申告書等作成コーナーに読み込ませると、20件を1件ずつ入力しなくて済みます。使ったポータルの数だけ取得し、ポータルを通さなかった寄附(義援金など)は、保管しておいた書類から別に入力します。

実際に確定申告がどれだけ楽にできたかは、別の記事にまとめたいと思っています。


翌年6月:控除が反映されたか確かめる

翌年6月に届く住民税決定通知書で、寄附金控除の額が載っているかを確かめます。載っていれば、1年が閉じたことになります。

そして同じ通知書で、次の年の上限を計算する——ここで最初の表の1行目に戻ります。


まとめ

  • 上限は住民税決定通知書から出す。ただし前年の所得をもとにした数字
  • 安全ラインは上限の約97%。超えると損するのはお金、余らせると損するのは返礼品
  • 秋までに安全ラインの9割、残り1割は12月に年収を見て決める
  • 義援金やクラウドファンディングも同じ枠を使う。ポータルを通さない分の書類は自分で保管する
  • 確定申告は証明書の電子データで入力を減らす
  • 翌年6月の通知書で反映を確かめ、そのまま次の年の上限計算に入る

※本記事は筆者個人の運用例です。控除上限は収入・家族構成・ほかの控除によって変わります。正確な額は各ポータルのシミュレーターやお住まいの市区町村でご確認ください。


筆者:田舎の県庁所在地に住む医師。外科学会専門医・乳癌学会認定医。現在は乳がんの検診・診断と緩和ケアを専門に担当。医師になって20年。お金の勉強はリベラルアーツ大学(リベ大)を参考にしています。