「個別株は基本やらない、インデックスファンド中心で」——これがリベラルアーツ大学(リベ大)でも繰り返し言われる、再現性の高い資産形成の王道です。

筆者の場合、リベ大の考え方を学ぶ前に買っていた個別株が複数あり、その中の1つがイオン(証券コード8267)です。今は新規購入する個別株は基本ありませんが、すでに保有している銘柄は、「保有を続けるか・売却するか・買い増しするか」を都度合理的に判断しています。

イオン株は**株主優待(通称オーナーズカード)**で生活と直結しており、今日(2026年5月27日)、株価が1,400円を割り込んだことを機に、改めて「買い増しすべきか」を冷静に分析しました。本記事ではその思考プロセスを共有します。

⚠️ 本記事は個別株の推奨を意図したものではなく、**「個別株を評価するときの考え方の例」**として読んでください。


1. イオン株主優待(オーナーズカード)の基本

イオン株を100株以上保有すると、オーナーズカードが発行されます。イオン系列店(イオン、マックスバリュ、ミニストップ、ウエルシア、ダイエー等)での買い物額に応じて、半期ごとにキャッシュバックを受けられます。

保有株数別のキャッシュバック率

保有株数 還元率
100株 1%
200株 2%
300株 3%
1,500株 4%
3,000株 5%
9,000株 7%

→ 300株と1,500株の間に大きなギャップがあり、一般家庭で現実的なのは「300株(3%)」までです。

その他のメリット

  • 配当金:年14円程度(半期7円×2回)
  • 権利確定日:2月末・8月末の年2回
  • オーナーズカードは権利確定日翌日に新規発行

2. 2025年9月の株式分割で「手が届きやすく」なった

イオンは2025年9月1日、1株を3株に分割しました。これにより:

分割前 分割後
株価(例) 約4,500円 約1,500円
100株購入額 約45万円 約15万円
還元率対応株数 旧100株=3% 新300株=3%

経済価値は同じですが、1株あたりの単価が1/3になり、個人投資家にとって参入しやすくなりました。


3. 株主優待の「実質利回り」の計算式

オーナーズカードの本質は「買い物額×還元率分のキャッシュバック」です。実質利回りは以下の式で計算できます。

実質利回り(%)=(年間配当 + 年間イオン利用額 × 還元率)÷ 投資額 × 100

試算例:300株保有(@1,400円)の場合

投資額:1,400円 × 300株 = 420,000円

年間イオン利用額 年間還元額 年間配当(14円×300株) 合計年回収 実質利回り
月1万円(年12万円) 3,600円 4,200円 7,800円 約1.9%
月3万円(年36万円) 10,800円 4,200円 15,000円 約3.6%
月5万円(年60万円) 18,000円 4,200円 22,200円 約5.3%
月10万円(年120万円) 36,000円 4,200円 40,200円 約9.6%

→ つまり、家族のイオン系列利用額が、株主優待の価値を決めるすべてです。


4. ⚠️ リベ大原則との兼ね合い

リベ大では、個別株について以下のように整理されています:

  1. インデックスファンド(オルカン・S&P500等)の長期期待リターンは年7〜8%
  2. 個別株は集中投資リスクがあり、初心者にはおすすめできない
  3. 株主優待は「廃止リスク」がある——制度が突然なくなれば実質利回りは大きく下がる

これを踏まえると、イオン株を保有する条件は以下になります:

  • 家族のイオン系列利用額が月3万円以上ある(実質利回りがインデックスを上回る目安)
  • 300株までで止める(4%昇格までの+1,200株はインデックスの機会費用に負ける)
  • インデックス投資との併存であって、置き換えではない
  • 株主優待廃止リスクを許容できる

5. 「4%昇格」を目指すのは合理的か

300株(3%)から4%に昇格するには、追加で1,200株(合計1,500株)必要です。

仮に株価1,400円で買い増しした場合:

項目 数字
追加投資額 1,400円 × 1,200株 = 約168万円
還元率向上による年間追加リターン(年60万円=月5万円利用時) 60万円 × 1% = 6,000円
追加配当(14円×1,200株) 約16,800円
合計追加年リターン 約22,800円
追加投資168万円に対する追加利回り 約1.4%

168万円をオルカン・S&P500等のインデックスに投資すれば、長期期待リターン7〜8%=年12万円程度

約1.4% vs 7-8% の差は決定的で、4%昇格を目指す合理性はほぼない——これが筆者の結論です。


6. 筆者の判断:現状維持

筆者は個人名義で300株保有しており、今日(2026年5月27日)の1,400円割れを機に検討した結果、現状維持を選びました。

💡 補足:オーナーズカードは1人(1株主番号)の保有株数で還元率が決まる仕組みです。たとえば「夫婦で合計300株(各150株ずつ)」では、それぞれの還元率は1%ずつにしかなりません。「世帯合算」はできない点に注意が必要です。

判断理由

  1. 既に3%還元枠を獲得しており、追加効果が薄い
  2. 4%昇格には約168万円の追加投資が必要 → インデックスの機会費用に負ける
  3. リベ大の「個別株は基本やらない」原則と整合
  4. 家族全体でのイオン利用額(年60万円=月5万円規模)に対して、3%還元で十分カバー

次の見直しトリガー

  • 株価がさらに大きく下落(1,200円台など)
  • 家族のイオン利用額が大幅に増加
  • 配当方針や還元率制度の変更
  • 自分のライフステージの変化(現役引退・家族構成の変化等)

7. それでも検討する価値がある人

以下に該当する方は、イオン株主優待の保有は合理的な選択になりえます。

条件 該当する人
イオン系列店をよく使う 近所にイオンモールがある、マックスバリュやウエルシアが日常買い物先
月3万円以上イオン系列で買い物 食料品・日用品・薬・ガソリン等を集約できる人
インデックス投資を既に基礎としている 個別株は「上乗せの実用優待」と位置づけられる人
株主優待廃止リスクを許容できる 制度が変わっても保有継続できる人

逆に、インデックス投資の経験が浅い方、家族のイオン利用が少ない方は、まずインデックス投資を優先することをおすすめします。


8. まとめ

ポイント 内容
オーナーズカードの本質 「買い物額×還元率」のキャッシュバック制度
株式分割(2025/9) 1→3株分割で個人投資家でも手が届きやすい価格に
還元率の壁 100→200→300は階段、300→1,500は大ジャンプ
実質利回り計算 年間配当+利用額×還元率を投資額で割る
4%昇格は非合理 +168万円の機会費用がインデックスに負ける
検討すべき人 イオン系列ヘビーユーザー+インデックス投資を基礎としている人

イオン株主優待は、「インデックス中心の長期投資」の原則を守りつつ、生活密着の実用メリットを取りに行くという、限定的だが意義のある選択肢です。

ただし、「優待が魅力的だから保有する」だけでは、リベ大流の長期資産形成からは外れていく点に注意してください。あくまでインデックス投資を基礎とし、その上に乗る形で位置づけるのが、筆者として推奨できるスタンスです。


※本記事は個人的な見解と一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。株主優待制度は将来変更・廃止される可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。

主要参照

関連記事


筆者:田舎の県庁所在地に住む医師。外科学会専門医・乳癌学会認定医。現在は乳がんの検診・診断と緩和ケアを専門に担当。医師になって20年。

お金の勉強はリベラルアーツ大学(リベ大)を参考にしています。