2027年、「こどもNISA」が始まる予定です。
0〜17歳の子どもが対象で、年間60万円まで非課税で投資できる制度です。18歳になると通常のNISA(つみたて投資枠)に移行します。
「医学部の学費、どうしよう」「子ども4人の教育費が心配」——子どもが多い家庭ほど、教育資金の準備は悩みどころです。
この記事では、こどもNISAの制度概要と、医師家庭ならではの活用の考え方を整理します。
注意:本記事執筆時点(2026年6月)でこどもNISAは制度設計中・2027年スタート予定です。詳細は変更になる可能性があります。最新情報は金融庁・証券会社のウェブサイトでご確認ください。
こどもNISAの基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 0〜17歳(口座開設時点) |
| 年間上限 | 60万円(月5万円) |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 投資枠の種類 | つみたて投資枠のみ |
| 18歳以降 | 通常NISAのつみたて投資枠に自動継続(非課税保有限度額1,800万円) |
| 引き出し制限 | 12歳〜18歳は入学金・授業料等の特定事由のみ |
ポイントは2つです。
①0〜11歳は自由に引き出せる(12歳からは教育目的に制限) ②18歳以降は通常NISAへ自動継続——子ども自身がそのまま投資を続けられる
シミュレーション:0歳から積み立てたら
年率4%で運用した場合の試算です。
| 積立期間 | 元本 | 運用結果(年率4%) |
|---|---|---|
| 0歳〜10歳(10年) | 600万円(上限到達) | 約735万円 |
| そのまま運用継続(18歳時点) | — | 約1,000万円 |
0歳から月5万円を積み立てると、10歳で上限の600万円に達します。その後も運用を続けると、18歳時点で約1,000万円になる計算です。
年率4%はあくまで仮定です。投資には元本割れのリスクがあります。
医師家庭の現実的な使い方
「月5万円」の原資をどう作るか
毎月5万円の積立は、家計への影響が小さくない金額です。現実的な原資として考えられるのは:
児童手当の全額投入 2024年10月から所得制限が撤廃され、医師家庭でも受け取れるようになりました。支給額は子1人あたり総額で約230万円(3歳未満1.5万/月・3歳〜中学生1万/月)。これを全額こどもNISAに入れると、月1〜1.5万円分をカバーできます。
祖父母からの贈与(暦年贈与) 年間110万円以内の贈与は非課税です。祖父母から孫へ年110万円を渡し、こどもNISAの原資にする方法があります。
ただし「毎年同じ時期に同じ金額を贈与する」と定期贈与とみなされるリスクがあります。金額・時期を変えるなどの工夫や、税理士への相談をおすすめします。
医学部進学を想定した試算
私立医学部の学費は6年間で2,000〜4,500万円程度、国公立でも350万円程度かかります。
こどもNISAで18歳時点に1,000万円を準備できれば、国公立医学部なら十分な備え、私立でも一部の足しになります。
子どもが多い家庭では、全員分を満額積み立てるのは難しいかもしれません。その場合は:
- 医学部・薬学部志望など学費が高い子どもを優先
- 積立額を調整して複数の子どもに分散
- 高校進学後は奨学金・教育ローンも視野に
注意点:引き出し制限と柔軟性
12歳から18歳までは入学金・授業料など教育目的のみ引き出せます。
この制限は、「教育資金としての用途を守る」という趣旨で設けられています。裏を返せば、進路変更・他の用途への転用はできません。
子どもの進路が決まる前から積み立てを始めることになるため、「絶対に教育に使う」と腹をくくった上で開始するのが適切です。
NISAはあくまで「手段」
NISAは非課税で投資できる「道具」です。目的が違えば、使う道具も変わります。
インデックス投資は、10〜15年以上先に使うお金の置き場所として適しています。短期間では元本割れのリスクがあるため、数年以内に使う予定のお金には向きません。
これは老後資金も教育資金も同じです。「何年後に使うか」によって、NISAが適切かどうかは変わります。
| 使い始めるまでの期間 | NISAとの相性 |
|---|---|
| 3年以内 | △(元本割れリスクあり) |
| 5〜10年 | △〜○(状況による) |
| 10〜15年以上 | ○(長期運用の効果が出やすい) |
資金ロックをどう捉えるか
こどもNISAは12〜17歳の期間、教育目的以外に引き出せません。
この制限は「計画的に使える」と捉えるか、「いざというとき動かせない」と捉えるか——人によって評価が分かれます。
- メリットと捉える人:「教育資金だから手をつけない」と決めやすい。強制的に積み立てが続く。
- デメリットと捉える人:進路変更・急な出費・他の優先事項が出てきたときに動かせない。
どちらが正解ということはありません。自分がどちらのタイプかを考えた上で判断するのが大切です。
まとめ
- こどもNISAは2027年スタート予定(0〜17歳・年間60万円・非課税)
- 0歳から月5万円積み立てると、18歳時点で約1,000万円になる試算
- 原資は児童手当・祖父母贈与・家計の余剰資金を組み合わせる
- 12〜17歳は教育目的のみの引き出しに制限される
- 夫婦のNISAを優先してから、余力でこどもNISAを検討するのが基本の順序
子どもの教育費は、準備を始めるほど「時間」が味方になります。制度の詳細が固まり次第、早めに動き出すことをおすすめします。
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筆者:田舎の県庁所在地に住む医師。外科学会専門医・乳癌学会認定医。現在は乳がんの検診・診断と緩和ケアを専門に担当。医師になって20年。
お金の勉強はリベラルアーツ大学(リベ大)を参考にしています。