「がんで死ぬのが一番」は本当か——死に方より「どう生ききるか」を考える

「死ぬならがんが良い」——そんな言葉を、書籍やSNSで見かけることが増えました。 理由としてよく挙げられるのは: 終活の時間が取れる 緩和ケアが充実している 家族に迷惑をかけにくい 確かに一理あります。しかし、緩和ケアの現場に20年近く関わってきた医師として、また日経メディカルの連載で廣橋猛先生(永寿総合病院・緩和ケア医)が自身が甲状腺がんを患った経験から書かれた論考を読んで、改めて考えました。 「どの死に方が良いか」を選ぶ発想自体が、本当に幸せにつながるのでしょうか。 参考記事:廣橋猛「『死ぬならがんが良い』と思っていないか?」(日経メディカル、2026年5月) https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/hirohashi/202605/593136.html(※会員限定記事) この記事では、4つの主要な死因の特徴を整理したうえで、「死に方」より大切な「どう生ききるか」について考えます。 1. 日本人の主要な死因(2024年厚労省データ) まず事実として、日本人がどんな死に方をしているかを確認しましょう。 順位 死因 割合 1位 悪性新生物(がん) 約24% 2位 心疾患 約15% 3位 老衰 約12% 4位 脳血管疾患 約7% 5位 肺炎・誤嚥性肺炎 約9%(合計) → 4人に1人ががん、約3割が心疾患・脳卒中、1割以上が老衰で亡くなっています。 参考情報源:厚生労働省「人口動態統計」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html)/確定数表 第8表 死因別死亡数(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/10_h8.pdf) 2. 4つの死に方の特徴を比較 「がんで死ぬのが良い」という主張を検証するため、主要な4つの死因の特徴を医師の視点で整理してみます。 がん 項目 内容 経過 数ヶ月〜数年かけて徐々に進行 予測 比較的予測可能(余命数ヶ月単位) 痛み あることが多い(緩和ケアで多くはコントロール可能) 終活時間 取れる(数週間〜数ヶ月) 家族との時間 持てる(意識保たれる時期が長い) 苦しみ 病状による(だるさ・食欲不振・痛み・呼吸困難など) 心疾患(心筋梗塞・心不全) 項目 内容 経過 急性死もあれば慢性経過もある 予測 心筋梗塞は突然、心不全は予測難 痛み 急性期は強い胸痛、慢性期は呼吸困難 終活時間 急性死ではほぼゼロ 家族との時間 急性死では最期の言葉なし 苦しみ 急性期は強い苦痛、慢性期はQOL低下 脳血管疾患(脳卒中) 項目 内容 経過 発症は突然、その後の経過は多様 予測 急性期は予測難 痛み 痛みより麻痺・意識障害が中心 終活時間 重症例では意思疎通困難 家族との時間 コミュニケーション制限が大きい 苦しみ 本人より家族の苦悩が大きいことも 老衰 項目 内容 経過 数年〜十数年かけて緩やかに衰える 予測 「いつ」は予測難、「方向」は予測可 痛み 少ないことが多い 終活時間 認知機能保たれていれば取れる 家族との時間 長い時間にわたり共に過ごせる 苦しみ 比較的穏やかとされる 補足:老衰で「最期まで会話できる」確率は? 老衰で亡くなる方の多くは90歳以上です。この年代の認知症有病率は以下の通り: ...

May 19, 2026 · 2 min

マンモグラフィの「痛い」を軽くする——タイミング・伝え方・準備のコツ

「マンモグラフィって痛いから受けたくない」——この言葉、検診を勧めるたびに本当によく聞きます。 実際、痛みが理由で検診を1〜2年見送ってしまう方は少なくありません。しかし、痛みを軽くするコツを知っていれば、ぐっと受診のハードルが下がります。 この記事では、現場で20年マンモを見てきた医師の立場から、痛みを軽くする具体的な方法をお伝えします。 「そもそもマンモと超音波どっち?」と迷っている方は先に 乳がん検診——マンモグラフィと超音波、どちらを受ければいい? をご覧ください。 1. なぜマンモは痛いのか——理由を知ると納得できる まず、マンモグラフィが痛い理由を理解すると、不快感も少し和らぎます。 痛みの正体は「圧迫」 マンモグラフィは乳房を上下・斜めから2枚の板で挟んで撮影します。 なぜ挟むかというと: 圧迫の目的 効果 乳腺を薄く広げる 隠れていた病変が見える 動きを止める ぶれずに鮮明な画像 被ばく量を減らす 厚みが薄いほど少ない放射線で済む 重なりを減らす 正常組織と病変の見分けがつきやすい → つまり圧迫は診断精度と安全のため。 ただし、必要以上に痛める必要はありません。減らせる痛みは減らす——これが今日の本題です。 2. 痛みは「人による」「時期による」 痛みの感じ方には大きな個人差があります。 痛みが強くなりやすい人 月経前(黄体期、排卵後〜月経まで) 乳房にしこり感や張りがある 若い世代(40代)で乳腺が密 過去にマンモで強い痛みを感じた 痛みが少ない傾向 月経終了直後〜排卵前 閉経後で乳腺が脂肪化している 乳房が柔らかい → 個人差があるのは当然のこと。自分のタイプを知っておくことで対策が立ちます。 3. 痛みを軽くする5つの実践的コツ ✅ コツ①:月経「後」1週間以内の期間に予約する(最重要) 月経周期 乳房の状態 マンモの痛み 月経中 やや張りが残る ★★★ 月経後1週間 最も柔らかい ★ 排卵期 少し張る ★★ 黄体期(月経前) 最も張る ★★★★ → 月経終了後3〜10日を狙って予約するのがベスト。 閉経後の方はいつでもOK。 ✅ コツ②:当日はカフェイン控えめ・締め付けない服装 カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)は乳腺を張らせやすい → 当日は控えめに 検査日2〜3日前から控えるとなお良い ブラジャーで強く締め付けない服装で ✅ コツ③:事前に「痛みに弱い」と伝える 技師さんは経験豊富です。**「初めてです」「痛みが心配です」**と一言伝えるだけで: ...

May 19, 2026 · 1 min

リンパ節の正常構造と転移を疑うポイント——細胞診のコツも含めて(初期研修医・学生向け)

「リンパ節腫脹」を主訴に外来を訪れた患者さん。 触ってみたら確かに腫れているけれど、これは反応性?それとも転移? 細胞診をする?するならどう刺す?——初期研修医や学生にとって、リンパ節の評価は意外と難しいテーマです。 この記事では、リンパ節の正常構造から転移を疑うポイント、そして細胞診(FNA)の実践的なコツまで、初期研修医・医学生向けに整理します。 1. リンパ節の正常構造 大きさ 正常リンパ節:通常短径10mm以下(鼠径部は2cm程度まで正常) 部位による違い:頸部・腋窩は1cm以下、鼠径は1.5〜2cmまで許容 ただし大きさだけで良悪性は判断できない 内部構造(皮質→髄質) 部位 役割 皮質(cortex) Bリンパ球が集まる胚中心(germinal center)を含む 傍皮質(paracortex) Tリンパ球領域 髄質(medulla) 形質細胞・マクロファージが豊富、リンパ排出経路 被膜(capsule) 線維性結合組織で全体を包む 門部(hilum) 血管・遠心性リンパ管の出入り口、脂肪組織を含む 超音波で見える正常構造 所見 意味 扁平な楕円形 長径/短径比(L/S比)≧2 高エコーの中心(hilum) 脂肪組織を反映、正常の証 薄い低エコーの皮質(2〜3mm) 均一な厚み 血流は門部から放射状 中心性血流パターン → **「楕円・hilum見える・皮質薄い・血流が門部中心」**が正常リンパ節の4大所見。 2. 転移を疑うポイント 正常との違いを意識すると、転移所見が見えてきます。 視診・触診の所見 所見 良性傾向 悪性傾向 硬さ 弾性軟 硬い・石様硬 表面 平滑 凹凸あり 可動性 良好 周囲組織と癒着・固定 圧痛 あり(炎症性) なし(転移は通常無痛性) 増大速度 数日〜数週で変動 進行性に増大 超音波での悪性所見 所見 意味 L/S比 < 2(円形化) 内部構造の破壊を示唆 hilumの消失 髄質脂肪が腫瘍に置換 皮質の偏在性肥厚(focal cortical thickening) 早期の転移で見られる 皮質の全周性肥厚 3mm以上で要注意 内部エコーの不均一・微小石灰化 悪性所見 辺縁不整・分葉状 被膜外浸潤の可能性 辺縁血流・混合性血流 中心性が消失し辺縁から血流 短径1cm以上 部位によるが目安の一つ CT/MRIでの悪性所見 所見 意味 短径1cm以上(部位による) 目安、絶対ではない 円形化(短径/長径比増加) 形態変化 中心壊死(low density) 腫瘍内壊死 環状濃染 被膜浸潤の可能性 節外進展(extracapsular extension) 予後不良因子 クラスター形成 複数個の腫大 病態別の特徴 病態 特徴 反応性(炎症性) hilum保たれる、皮質均一肥厚、痛みあり 転移性 hilum消失、皮質偏在性肥厚、無痛性 悪性リンパ腫 多発・大型、均一な低エコー、hilum消失 結核性 中心壊死、周囲炎症、肉芽腫形成 3. 細胞診(FNA)検査時のポイント 「腫大リンパ節を見つけた→FNA」となる場面は多いですが、手技と適応を押さえておくと診断率が大きく変わります。 ...

May 19, 2026 · 2 min

医師がまず試すべき医療AI——OpenEvidenceの強みと限界

「生成AIは便利そうだけど、医療では誤情報が怖い」——そう思っている医師は多いと思います。 私自身、ClaudeやChatGPT等の汎用AIで医療情報を調べた際、根拠がはっきりしない提案をされて困った経験があります。臨床判断に使うには信頼性が不安でした。 しかし、医療用に設計された専門AIなら話は別です。今回は日経メディカル連載「医師のための"安全に攻める"生成AI実践ノウハウ」(岡本賢先生、2026年5月12日)を参考に、OpenEvidenceという臨床AIツールを紹介します。 参考記事:岡本賢「“生成AIアレルギー"の医師こそ、触れるべきツールはこれ!」日経メディカル 2026年5月 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/okamoto/202605/593110.html(※会員限定) 1. OpenEvidenceとは 項目 内容 正式名 OpenEvidence 公式サイト https://www.openevidence.com/ 創業 2023年、米国(Mayo Clinicスタートアップ支援プログラム発) 提携 NEJM(New England Journal of Medicine)・JAMAの公式AIパートナー 利用料 医師は完全無料(医師認証必須) 対応言語 日本語対応 利用実績 米国医師の約40%が日常使用、全米1万以上の医療施設で導入 → 単なる便利ツールではなく、米国臨床現場のスタンダードになりつつあるサービスです。 2. 「生成AIあるある」を回避する4つの仕組み 汎用AIで起きがちな「存在しない論文を提示」「根拠が薄い断定」を、OpenEvidenceは設計レベルで回避しています。 ① 学習データは査読済み医学論文のみ 一般ウェブサイトの情報を学習させていない → 怪しい健康情報・自由診療系のブログ等が混入しない ② 領域ごとに専門化された複数モデルで構成 単一の巨大LLMにすべてを任せない 領域横断の知識混入を防ぎ、専門領域特化の回答を導く ③ 根拠が薄い問いには答えない設計 「現時点では確定的な推奨を行うための十分なエビデンスはありません」 「報告された研究は限定的で、明確な結論には至っていません」 → 汎用AIによくあるユーザー迎合的な不正確な回答を避ける ④ すべての回答に元論文へのリンク ワンクリックで原文を検証可能 医師として一次資料に直接当たれる 3. 性能データ——汎用AIとの比較 同社(OpenEvidence社)が公表しているデータでは: 米国医師国家試験(USMLE)で初の90%超を達成、その後100%にも到達 ChatGPTと比べて誤答が77%少ない GPT-4と比べても誤答が24%少ない つまり、医療特化型のOpenEvidenceは、汎用AIに対して明確な性能優位を示しています(※すべて同社発表の数値、第三者検証は限定的)。 4. 「成書」から「一次資料リアルタイム」への転換 著者(岡本先生)の指摘で印象的だった一節: 成書もガイドラインも、突き詰めれば論文の束を誰かが編み直したもの。 OpenEvidenceはそうした資料の一次情報に医師を直接つなぐ。 これは医学情報の構造的変化を示しています。 従来 OpenEvidence時代 成書・ガイドライン(二次資料)を待つ 一次論文にリアルタイムアクセス 「ハリソン内科学」「UpToDate」を引く AIに問い、引用元を確かめる 二次資料完成まで時間差 公開された論文を即座に統合 → 「ハリソン内科学」「UpToDate」と並ぶ位置、あるいは一歩先に位置する臨床資料という評価。 ...

May 19, 2026 · 1 min

グリーフケア——大切な人を亡くしたあとの「悲嘆」とどう向き合うか

大切な人を亡くしたあと、自分でも驚くほど深い悲しみに飲まれることがあります。 何も手につかない 涙が止まらない、あるいは涙が出ない 食欲がない、眠れない 「あのとき、ああしていれば」と後悔ばかり浮かぶ 周囲が普通に生活しているのが信じられない これらは異常な反応ではありません。むしろ、深く愛した証としてごく自然な反応です。この記事では、**グリーフケア(悲嘆ケア)**について、緩和ケア医の立場からお伝えします。 1. グリーフ(悲嘆)とは **グリーフ(grief)**は、大切な人や物を失ったときに起こる、自然な心と体の反応です。「悲嘆(ひたん)」と訳されます。 「死別の悲しみ」と思われがちですが、実はもっと広い概念です。 失うもの 例 人 家族・友人・パートナーとの死別 健康 がんなどの病気の告知、後遺症 関係 離婚、別離 役割 退職、子の独立 場所・物 引っ越し、ペットの死 → どれも本人にとっては大きな喪失で、悲嘆反応が起こります。 2. 悲嘆の4つの側面 グリーフは「悲しい」という感情だけではありません。心・体・行動・思考の4つの側面に現れます。 側面 主な反応 感情 悲しみ・怒り・罪悪感・孤独感・空虚感・恐怖・安堵 身体 不眠・食欲低下・疲労・動悸・胸の痛み・免疫力低下 行動 引きこもり・故人の遺品にこだわる・故人を探す・上の空 思考 集中力低下・記憶の混乱・「もし〜だったら」の繰り返し・幻聴幻視 「安堵」を感じてもいい 長く介護した家族、苦しみが長かった患者さんの場合、亡くなったときに**「ホッとした」気持ちが湧くことがあります。これは自然な反応**で、決して「冷たい人間」ではありません。 3. 悲嘆の時間経過——「ステージ」ではなく「波」 かつてキューブラー・ロスは「悲嘆の5段階(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)」を提唱しましたが、現代では**「段階を順番に進む」というモデルは現実と合わない**ことが分かっています。 実際には: 悲しみは波のように寄せては返す 「もう大丈夫」と思った瞬間にまた強い悲しみが襲うことがある 記念日反応(誕生日・命日・季節の節目)で再燃する 数年経っても、ふとした瞬間に涙が出ることがある → これらは異常ではなく自然。「いつまでも引きずって…」と自分を責めないでください。 参考情報源:日本サイコオンコロジー学会・日本がんサポーティブケア学会「遺族ケアガイドライン2022年版」(https://jpos-society.org/guideline/family-care/) 4. 「通常の悲嘆」と「複雑性悲嘆」 悲嘆の多くは時間とともに少しずつ和らいでいきます。しかし、一部の方では通常よりも強く、長く続くことがあります。 通常の悲嘆 数ヶ月〜1年ほどで、日常生活が徐々に戻ってくる 故人を懐かしむことはあっても、自分の人生を歩んでいける 複雑性悲嘆(遷延性悲嘆症) 死別から1年以上経っても、強い悲嘆が続く 故人への思慕が強すぎて日常生活に支障が出る 「自分も死にたい」という気持ちが続く 故人の死を受け入れられない 複雑性悲嘆は、専門的なケアが必要な状態です。決して「気の持ちよう」ではありません。 精神科・心療内科・緩和ケア外来・グリーフ専門カウンセラーへの相談を検討してください。 参考情報源:DSM-5-TR「遷延性悲嘆症(Prolonged Grief Disorder)」——米国精神医学会が2022年に正式な精神疾患として位置づけた診断名。日本語の解説は Google検索:DSM-5-TR 遷延性悲嘆症 を参照。 ...

May 18, 2026 · 1 min

乳腺の針生検——痛み・所要時間・結果が出るまでを医師が解説

乳がん検診で「要精密検査」となり、画像検査の結果「針生検(はりせいけん)が必要です」と言われたとき、多くの方が次のような不安を抱きます。 「痛いんじゃないか」 「どのくらい時間がかかるのか」 「結果はいつわかるのか」 「がんだったらどうしよう」 この記事では、乳腺の針生検の実際の流れ・痛み・所要時間・結果が出るまでを、現場の医師の視点で具体的に解説します。 「要精査」と言われたばかりの方は、先にこちらもご覧ください → 乳がん検診の結果の見方——「要精査」と言われたら 1. 針生検とは——なぜ「針」で組織を取るのか 画像検査(マンモグラフィー・超音波・MRI)だけでは「がんかどうか確定できない」ことが多くあります。 最終的に「がん」「良性」を判定するのは、顕微鏡で細胞や組織を見ること(病理検査)です。そのために、しこりや石灰化のある部分から細胞や組織を採取する必要があります。 採取方法には大きく分けて2つあります: 方法 内容 針生検 針を刺して細胞・組織を採取(外来で可能) 外科的生検 手術で組織を切り取る(入院が必要なこともある) → まずは負担の少ない針生検で行うのが標準です。 2. 針生検の3つの方法 針の太さと採取量によって、主に3種類あります。 方法 針の太さ 太さの例え 採取するもの 局所麻酔 確定診断力 細胞診(FNA) 22G(約0.7mm) シャープペンの芯 細胞 なし 中 コア生検(CNB) 16G(約1.65mm) ボールペンの芯 組織(細い棒状) あり 高 吸引式組織生検(VAB) 10〜14G(約2.1〜3.4mm) 割りばしの先端 組織(多量) あり 非常に高 ※G(ゲージ)は数字が小さいほど太い針 細胞診(FNA:Fine Needle Aspiration) 通常の採血と同じくらいの細い針で、しこりに刺して細胞を吸引します。 メリット:簡便、すぐできる、麻酔不要、合併症少ない デメリット:採取できる細胞量が少なく、判定不能(判定保留)になることがある 使いどころ:嚢胞内液の吸引、リンパ節転移の確認など コア生検(CNB:Core Needle Biopsy) ボールペンの芯くらいの太さの針で、組織を棒状にくり抜いて採取します。バネ仕掛けの装置(生検銃)で瞬時に刺入されます。 メリット:組織量が十分で、がんかどうかの確定診断ができる、サブタイプ(HER2やER等)の判定も可能 デメリット:局所麻酔が必要、わずかな出血・内出血 使いどころ:現在の標準的な針生検 吸引式組織生検(VAB:Vacuum Assisted Biopsy) 通称「マンモトーム生検」「エンコア生検」。かなり太めの針で、吸引しながら多量の組織を採取します。 メリット:採取組織量が最大で最も確実な診断ができる、石灰化病変にも対応 デメリット:費用が高い、内出血が大きいことがある 使いどころ:マンモグラフィーで石灰化のみが見える場合、コア生検で結果不明だった場合 3. 当日の流れ(コア生検の場合) 最も一般的なコア生検の流れを、時間軸で示します。 ...

May 18, 2026 · 2 min

「立派な老衰」「満足死」——自分らしい最期を迎えるために

「最期はどんな形でありたいか」——この問いに即答できる方は、そう多くないと思います。 近年、終末期医療の現場では「立派な老衰」「満足死」という言葉が静かに広がっています。それぞれの言葉に込められた意味を知ると、自分や家族の最期について考える視点がひとつ増えるかもしれません。 この記事では、これらの概念を紹介しつつ、患者・家族・医療者がどう向き合っていくかを一緒に考えてみたいと思います。 1. 「立派な老衰」「満足死」とは 「立派な老衰」(花戸貴司氏) 滋賀県永源寺診療所で地域医療を支える花戸貴司氏が用いている言葉です。 「自分らしく生き、自分らしく死んでいく」——その自然な流れを大切にする考え方です。 「満足死」(故・疋田先生) 高知県黒潮町・拳ノ川診療所の疋田善平先生(故人)が長年訴え続けてきた概念。 本人が「ありがとう」「いい人生だった」と思える、納得感のある最期を意味します。 どちらも、「長く生きること」よりも「その人らしく生きて、満足して逝くこと」を重視する考え方です。 参考情報源:石井隆之「老衰診断アルゴリズム——医師のトラウマを和らげる」高知県医誌 30(1):174-180, 2025 2. 「老衰」という診断の重み 「老衰」と診断することは、医師にとって決して軽いことではありません。 積極的な治療を行わず、自然な経過に委ねる——その判断には常に「もしかしたら、適切な治療をしていれば回復したのではないか」という不安が伴います。 ベテラン医師でも、その判断には葛藤があります。 最近、高知医療センターの石井隆之先生らが提唱した「老衰診断アルゴリズム」は、こうした医師の心理的負担を軽くする取り組みのひとつです。複数のスタッフで協議し、客観的な指標(7日以上の経口摂取困難・他疾患の除外など)に基づいて判断する仕組みは、医師個人の勇気に頼らず、チームとしての合意形成を可能にします。 3. 医療者も悩みながら、決めている ここで大切なことをお伝えしたいのです。 医療者もまた、最期の治療方針について悩みながら決めています。 治療を続けるべきか どこで線を引くか 家族の希望と本人の意思のどちらを優先すべきか 医学的に「もう少しできること」があるとき、それをどう伝えるべきか 経験豊富な医師であっても、ひとつひとつの症例で深く考え、迷い、決めています。教科書通りには進まないのが終末期医療です。 4. どの選択肢も、尊重される 最期の医療には、大きく分けて2つの方向性があります。 方向性 内容 自然な経過に委ねる 積極的な治療を控え、苦痛を和らげながら穏やかに過ごす できる治療を尽くす 家族や本人の希望で、最後まで医学的にできることを行う どちらが「正しい」というものではありません。 法律に反しない範囲であれば、どちらの選択も尊重される——これが現代医療の基本姿勢です。本人の意思、家族の願い、そして医療者の判断が重なる場所で、最善のかたちが選ばれます。 「自然な最期がよい」と決めつけるのも、「できることは全部やってほしい」と決めつけるのも、どちらかを否定する必要はないのです。 5. 立場の違いを「責め合う」のはやめたい 患者・家族・医療者の間で、ときに気持ちのすれ違いが起きます。 家族「もっと治療してくれないなんて、見放されている気がする」 医療者「ここまで治療を続けても、患者さんの苦痛が増すだけなのに……」 家族「点滴を減らすのは可哀想だ」 医療者「最期の点滴は、むくみや痰を増やしてかえってつらいのです」 それぞれの言葉の裏には、**「大切な人を思う気持ち」「患者さんを楽にしたい気持ち」**があります。 立場が違うだけで、目指していることは同じ——「その人にとって最善の最期」です。 互いを責めるのではなく、それぞれの立場で何ができるかを一緒に考える。それが、立派な老衰・満足死につながる道だと思います。 6. 家族から始められること ① 本人の希望を聞いておく 元気なうちに「もしものとき、どうしたい?」を会話する。難しければ、新聞記事やテレビ番組をきっかけにしてもいい。 → 詳しくは別記事「ACP(人生会議)——「もしも」のときのために話しておくこと」もご覧ください。 ② 「延命ではなく安らかな最期を」と伝える 医療者は、家族から**「過度な延命は望みません」**という言葉が伝えられると、心理的なハードルが大きく下がります。 これは医療者を「楽にする」だけでなく、患者さん本人にとっても穏やかな選択を可能にする贈り物です。 ③ 担当医・看護師に質問する 「いま受けている治療は、本人にとって楽になっているのか、苦しくしているのか」「これから先、どんな選択肢があるか」——これらを聞くことは、家族の権利です。 医療者は、家族の質問を**「治療の押し付け」ではなく「共に考える機会」**として受け止めます。 7. 医療者へ——お互いに歩み寄ること 医療者の側にも、家族へお伝えしたいことがあります。 ...

May 8, 2026 · 1 min

au PAYカード解約レポート——電話4分で完了、押さえておきたい注意点

「使っていないクレジットカードがあるけど、解約するのは面倒そう」——そう思って放置している方は多いと思います。 私もそうでした。家計見直しを進めるなかで、ほぼ使っていなかったau PAYカードを解約しようと思い立ち、実際に電話で手続きしました。 結果から言うと、わずか4分で完了しました。この記事では、解約の実際の流れと、事前に知っておくとスムーズな注意点をまとめます。 1. なぜ解約することにしたのか 最近、家計の見直しを進めています。きっかけはリベ大(両学長)で学んだ「お金持ちになるための定期点検」の考え方です。 確認すると—— 使っているメインカードは別のもの au PAYカードはほぼ使っていない 年会費は無料だが、カードが多いとセキュリティリスク・管理の負担が増える 「使わないカードは持たない」という方針で、解約に踏み切りました。 2. 解約前に確認したいこと 電話する前に、以下を確認しておくとトラブルがありません。 ① 定期支払いの確認(最重要) au PAYカードを支払い方法に登録しているサービスがないかチェック: カテゴリ 例 公共料金 電気・ガス・水道 通信費 au・UQ mobile・固定回線 サブスクリプション Netflix・Amazon Prime等 保険料 月払い保険 ふるさと納税 寄付サイト → 解約前に他のカードに変更しないと、未払いになるリスクあり ② au関連サービス au PAY 残高チャージ au ID 連携 auひかり・UQ mobileの料金 → これらに紐付いていれば、別の支払い方法に切り替え ③ 残ポイントの確認 au PAYカードのポイントはPontaポイントに統合 カード解約してもPontaポイントは残ります(au IDがある限り) ④ 分割払い・リボ残高 分割払い・リボ・キャッシング残高があると解約できません 完済が必要 3. 解約専用ダイヤル カード裏面の「管理番号」の最初の1桁で連絡先が変わります。 管理番号 電話番号 受付時間 **「9」**から始まる 03-6758-7388 9:00〜18:00 **「5」**から始まる 03-6692-5021 9:00〜18:00 ゴールドカード会員は、カード裏面の専用番号へ。 ...

May 8, 2026 · 1 min

乳がんと遺伝——BRCA遺伝子変異とは

「親が乳がんでした。私もなりやすいのでしょうか?」「BRCA遺伝子の検査ってどんなもの?」——遺伝に関するご質問は近年特に多くなっています。 乳がんの5〜10%は遺伝性と言われ、その代表が BRCA1・BRCA2遺伝子変異 による「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。 この記事では、日本乳癌学会の患者向けガイドラインに沿って、遺伝性乳がんとBRCA検査について解説します。 参考情報源:日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q65 乳がんと遺伝について」 1. 乳がんは遺伝するのか? 一般的な傾向 すべての乳がんが遺伝するわけではありませんが、約5〜10%が遺伝性と推定されています。 区分 割合 散発性(遺伝性ではない) 約90〜95% 遺伝性(BRCAなど) 約5〜10% 遺伝性が疑われる特徴 以下の状況では、遺伝性乳がんの可能性が高くなります。 血縁者に乳がん・卵巣がんの方が複数いる 自分または血縁者が40歳未満で乳がん発症 自分または血縁者が両側性の乳がん 自分または血縁者が男性乳がん 自分がトリプルネガティブ乳がんである 既知のBRCA変異が家系内に判明している これらに当てはまる方は、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。 2. BRCA1・BRCA2遺伝子とは BRCA1・BRCA2 は、本来「がんを抑える遺伝子」です。DNAの修復に関わり、がん化を防ぐ働きをしています。 この遺伝子に病的バリアント(変異) があると、修復機能が弱まり、生涯のうちに乳がん・卵巣がんなどを発症するリスクが高くなります。 BRCA変異がある場合のがん発症リスク がんの種類 一般的なリスク BRCA変異キャリアのリスク 乳がん 約9% 約60〜70% 卵巣がん 約1.5% 約20〜40%(BRCA1)/10〜20%(BRCA2) 男性乳がん 0.1%未満 約1〜10% 膵がん 約2% 約5〜10% 前立腺がん 約9% 約25%以上 リスクは数倍〜数十倍高まりますが、「必ず発症する」というわけではありません。 3. 遺伝学的検査について どのような検査か 血液採取で遺伝子を調べる検査です。1回の採血で BRCA1・BRCA2 の病的バリアントの有無がわかります。 検査の対象と保険適用 保険適用となる主なケース: すでに乳がん・卵巣がんと診断された方で、特定の条件に該当する場合 45歳以下の発症 60歳以下のトリプルネガティブ乳がん 両側性乳がん(年齢問わず) 男性乳がん(年齢問わず) 卵巣がん(年齢問わず) 血縁者にBRCA変異キャリアがいる 乳がん・卵巣がん・膵がん・前立腺がんの家族歴がある 自費検査の場合: ...

May 8, 2026 · 1 min

乳がん手術後のフォローアップ——再発を早く見つけるために

「手術が終わったら、もう病院に行かなくていいのかな?」「次はいつ通院すればいいの?」——術後の経過観察について、患者さんから多く受ける質問です。 乳がんの治療は手術や薬物療法で終わりではありません。術後の経過観察(フォローアップ)こそが、再発を早く見つけ、健康な生活を続けるための大切な仕組みです。 この記事では、日本乳癌学会の患者向けガイドラインに沿って、術後の通院・検査の意味と内容を解説します。 参考情報源:日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q39 手術後の経過観察はどのように受けたらよいでしょうか」 1. なぜ術後の経過観察が必要か 乳がんは手術で「がん細胞が見える範囲を取り除いた」状態です。しかし、目に見えない微小ながん細胞が残っている可能性は完全には否定できません。 経過観察の目的は次の3つです。 目的 内容 再発の早期発見 局所再発・反対側乳がん・遠隔転移を早く見つける 治療の副作用の確認 ホルモン療法など長期治療の副作用をチェック 心身の支援 不安・生活の悩みなど多面的なサポート 2. 通院・検査のスケジュール ガイドラインでは、以下のような頻度が標準的とされています(個々のリスクで調整あり)。 一般的なスケジュール 時期 通院頻度 内容 術後 1〜3年 3〜6ヶ月ごと 問診・視触診 術後 4〜5年 6〜12ヶ月ごと 問診・視触診 術後 5年以降 1年ごと 問診・視触診 画像検査 マンモグラフィー:年1回(温存後の同側乳房と健側) 乳房超音波:必要に応じて 採血・腫瘍マーカー ホルモン療法中の方は採血で副作用を確認することがあります 腫瘍マーカー(CEA・CA15-3など)の定期測定は、無症状の人で行っても予後を改善しないことがガイドラインでも示されており、ルーチンには推奨されていません 全身画像検査 CT・骨シンチ・PETなどの全身検査も、症状がない場合のルーチン使用は推奨されていません 症状や疑いがあるときに行う方針です 3. なぜ「無症状なら採血や全身検査をしない」のか 「もしも見落としているがんがあったら……」と不安になりますが、ルーチンの全身検査は予後を改善しないことが複数の研究で示されています。 逆に、過剰な検査によって: 偽陽性による不要な追加検査・手術 心理的不安の増大 被ばく・医療費の増加 といったデメリットが生じます。 そのため、症状や疑いがあるときに検査を行う方針が世界的な標準です。 4. 自分でチェックすべき症状 経過観察の合間にも、自分で気をつけたい症状があります。気になる症状があれば、次の予約を待たずに受診してください。 部位 チェックする症状 乳房・術後創部 しこり・赤み・腫れ・引きつれ・痛み 反対側の乳房 しこり・分泌物・皮膚変化 腋窩(脇) しこり・腫れ 骨 続く骨の痛み(特に背中・腰) 呼吸器 続く咳・息切れ 全身 急な体重減少・倦怠感の続く これらは転移の早期発見につながります。「少しおかしい」と感じたら、迷わず連絡してください。 ...

May 8, 2026 · 1 min